Slack 導入ガイド
Slack を会社や組織に導入する際、それが500人の会社でも50万人規模でも、大人数のグループへ何か新しいツールを導入するというのは大変な作業です。ここでは、Slack の導入ができるだけスムーズになるよう、導入の手順とポイントをご紹介します。ぜひお役立てください!
ハイライト
- Slack 導入推進チームを編成し、会社で Slack をどのように利用していくか等の基本方針を決定する。
- 自社の業務効率をあげるのに適した Slack の活用方法を探る。
- 自社のニーズや目標に合わせて Slack をデザインする。
- Slack の全社導入に向けたプランを立案する。
1. 導入推進チームを編成する
Slack 導入成功の第一歩は、適切なメンバーを集めて導入推進チームを作ることです。以下はメンバーの役割や責任分担の例です。
社内での役割
-
プロジェクトマネージャー
各問い合わせに対する主要窓口となり、導入にかかる様々な活動を取りまとめる役割を担います。 -
エグゼクティブスポンサー
経営幹部レベルのプロジェクト促進者です。Slack 導入プロジェクトの旗振り役として、Slack を導入する目的や有用性を積極的に社内各所に説明していきます。 -
ビジネスオーナー
それぞれのチーム内において Slack の利用を促進すると同時に、チームに適した利用方法を割り出し、長期的にチームで使いやすいように Slack を調整していきます。 -
ワークスペースのオーナーと管理者
ワークスペースの設定を管理し、メンバー管理を継続的にサポートします。 -
変革推進チーム
Slack の使い方について、社内での教育を推進します。トレーニング計画を立てたり、適切な使い方や活用事例を共有し、サポートを提供していきます。
Slack での役割*
- アカウントエグゼクティブ (AE) : メイン窓口となり、業務のニーズを把握し、用途に合わせた活用方法を提案します。
-
カスタマーサクセスマネージャー (CSM) :
AE からの紹介で、ユーザー社内でのスムーズな導入をサポートする存在が CSM です。 -
サポートチーム :
問題が発生したり、Slack の使い方について分からない点がある時にはいつでもサポートチームに連絡してください。
*ほとんどのお客様のニーズに関しては、Slack のサポートチームが対応しますので、専任の AE や CSM の割り当てがない場合もあります。
こんにちは! Slack のサポートチームは、年中無休・24時間体制で対応しています。何かありましたら お気軽にお問い合わせください!👍
2. 目的と課題を明確にする
Slack 導入に向け、チームが一体となって共通認識を作るタイミングです。Slack の使用について、明確なビジョンと目的を定義することが重要となります。現在の社内のコミュニケーション文化を理解するため、従業員インタビューを実施するのも有用でしょう。
インタビューでの質問例には以下のようなものがあります。
- 当社の企業文化は社内のコミュニケーション方法にどのように影響を与えていると思いますか?
- 同僚とやり取りする場合や、協力して作業する時、どのように行っていますか?
- 仕事に利用しているアプリケーションやツールは何ですか?
- 自分の仕事に一番関わりのある人やチームはどの人 (どこ) ですか?他には、誰 (どのチーム) と一緒に仕事をしますか?
- Slack を利用することで、会社の業務にどのようないい影響や変化があると思いますか?
インタビュー結果から、社内のコミュニケーションにおける課題やチャンスが浮かび上がることでしょう。組織のゴールや注力すべきプロジェクトを定める上でも役立ちます。
3. 使用事例を研究する
代表的な使用事例やワークフローをピックアップして観察することは、目標達成に大変役立ちます。チームとってのメリットを最大化するようなシナリオを選択しましょう。
- 2〜4の事例からスタートします。
- 既存のコミュニケーションの課題に取り組む使用事例を選択します。
- メンバーの手本となるような積極的な対応モデルを作成します。
- Slack の全社導入後に、利用状況を毎週確認します。
仕事での使用事例を調査する
使用事例 (1)
使用事例 (2)
仕事での使用事例 :
マーケティングチームからの社内アナウンス
現在の課題
- いろいろなチームから発信される重要な更新情報やニュースに社員が気づきにくい。
- メールによるニュースの配信は、その他のメールに紛れてしまいがちで、受信ボックスを未読メールでいっぱいにする原因にもなる。
目標
- チーム間の情報の透明性を高める
- 社員が能動的に自分に関係あるアナウンスを確認できるようにする。
役に立つ Slack の機能
- 重要なチャンネルにスターを付ける。
- 通知をカスタマイズする。 (例) ハイライトワードを利用する
- メッセージを引用する
- 関連するチャンネルやメッセージ、ファイルへのリンクを利用する。
Slack を利用するワークスペースでの対応
- 「要チェック」アナウンスチャンネルを作成する
- 重要なチャンネルへ関連性の低いメッセージの投稿を制限する
- チャンネルの話題は1つに絞り、そこから会話が脱線しないよう注意する。
成功の基準
- メンバーの75%以上が、Slack を利用することでメンバー間の連体感が高まったと回答している。
- メンバーの50%以上が、情報の透明性が高まったと回答している。
- メンバーの20%以上が、社内メールが減ったと回答している。
仕事での使用事例 : 意見を求める
現在の課題
- メールによって多数の人々からの意見を集める事は効率が悪い。
目標
- 直属のチームや他のチームから効率よく意見を回収する。
- 重要なプロジェクトにおける情報の透明性を高める
役に立つ Slack の機能
- 共有チャンネル
- ファイルの共有
- カスタム通知やメンション
- スレッドにメッセージを投稿する
- 絵文字でリアクションする
Slack を利用するワークスペースでの対応
- パブリックチャンネル内でオープンに意見を集める。
- スケジュールを明確にし、適切なチャンネルにリマインダーを設定する。
- 投稿された回答に絵文字リアクションして、メンバーへ感謝を示す。
- アイデアを集める際にポストを利用し、いつでも確認しやすいようチャンネルにピン留めしておく。
成功の基準
- メンバーが、20%以上生産性が向上したと回答している。
- メンバーが、会議が20%減ったと回答している。
- メンバーが、プロジェクトや他の部門への理解が深まったと回答している。
4. Slack ワークスペースを設定する
Slack の全社導入前に、ワークスペースの用途に合わせて設定を調整しましょう。 ワークスペースの設定メニューは 設定 &権限 のページ : my.slack.com/admin/settings から確認できます。
たくさんの設定項目があるので、まずは以下のような、ワークスペースでの Slack の運用に関わる項目から設定する事をおすすめします。併せて設定に役立つヒントもご紹介します。
Channels
(チャンネル)
メッセージ
アクセス権
アプリ
💡メンバーにチャンネルを作成し、アーカイブできる権限を付与することをおすすめします。こうすることで、Slack をそれぞれのニーズに合わせて活用できる余地が広がります。
💡メンバー全員がパブリックチャンネルを作成し管理できるように設定してみましょう。パブリックチャンネルでオープンに話し合うことによって、チーム内の情報の透明性が高まり、組織の共有知識をアーカイブに蓄積することができるという点を理解してもらうようにします。
• すべて保存する
• すべてのメッセージを保存するが、それらの変更ログは保存しない (編集と削除など)
• メッセージと変更ログを一定期間の経過後に削除
💡 Slack を使っていくうちに組織のメッセージアーカイブに蓄積され構築される共有知識のデータベースは Slack を利用する主なメリットの1つです。そのため、メッセージ保存期間は長ければ長いほどチームの役に立ちます。
💡詳しくは「Slack シングルサインオン ガイド」を参照してください。
App ディレクトリの 管理 (Manage) の項目から、チームで利用するアプリやカスタムインテグレーションを管理する権限を持つメンバーをを選択します。
💡メンバーが業務に使っているアプリで Slack ワークスペースをカスタマイズすると、生産性が向上します。アプリとカスタムインテグレーションのインストールを許可するメンバーは慎重に選びましょう。
5. チャンネル名ガイドラインを作成する
チャンネル名ガイドラインを設定して、一定の規則に沿って名前をつけるようにしておけば、メンバーが自分に関係するチャンネルを探して参加しやすくなります。導入開始前にしっかりと準備をしておくことがワークスペースの作業効率アップにつながります。
- 一般的なテーマのチャンネルからスタートし、そこから必要に応じて専用トピックチャンネルを増やしていきましょう。
- チャンネル名のつけ方に関するガイドラインを作成しましょう。
- ワークスペースでガイドを共有する。
- チャンネルのトピックから話題がそれないよう、メンバー全員に注意を促しましょう。
注意 : チャンネル名のガイドラインを作成する ページで、チャンネル名の付け方やチャンネルを整理するヒントを詳しく説明しています。ワークスペースの強固な基盤作りに不可欠なガイドです。ぜひ読んでみてください!
6. チームを教育する
社内トレーニングを実施する
導入に際し、チームメンバーが Slack についてきちんと理解していることが、Slack 導入成功の鍵となります。ぜひ、推進チームが主体となって、社内で勉強会を開いてください。その際、推進チームのメンバーが以下のように分担することをおすすめします。
-
経営陣や管理職
Slack の有用性や、組織が Slack の使用に関し共通認識を持つ事の重要性を伝えます。 -
ビジネスオーナー
仕事での使用事例を共有します。Slack ヘルプセンターにある 部門別の Slack 活用ガイドにて、Slack を利用したチームの運営方法について説明していますので、参照してください。 -
ワークスペースの管理者
様々なワークスペースの設定項目や、チームにとって最適なユーザー管理など、どのように社内での Slack の利用をサポートしていくかについて話し合います。 -
変革推進チーム
社員に Slack のもっとも効果的な使い方を教育します。機能の操作方法、アプリやツールの接続方法、Slack での通知機能などを中心とした勉強会を開きます。
💡ステップ別の Slack Day 研修イベント開催ガイドをチェックしてみましょう!
自習マニュアル
社内のユーザーが質問を投稿できる #ヘルプ-slack チャンネルを作成し、役立つ情報をピン留めすると、メンバーが情報をすぐに確認できて便利です。 対象者のレベルによっては、個別トレーニングの実施も検討してみてください。
簡単なガイドをご紹介します。
トレーニングでスキルアップ!Slack では、ワークスペースに追加可能なインタラクティブトレーニングアプリを無料で提供しています。メンバーなら誰でも使え、Slack を効率的に活用する方法を学べるチュートリアルが満載です。Slack Foundry アプリを追加する 🏅
7. 導入を開始する
Slack のメリットをみんなに理解してもらう最も良い方法は、使ってみてもらう事です。試験的に少人数からスタートし、徐々に利用人数を増やしていきます。
- 第 1 段階 — 少人数のグループを編成する
- 第 2 段階 — チームや部門レベルで導入する
- 第 3 段階 — 複数のチームや部門へ展開する
以下のように、段階に分けたアプローチをおすすめします。
第 1 段階
第 2 段階
第 3 段階
同じ部署のメンバーなど、毎日一緒に仕事をするメンバーで構成された少人数グループに利用を開始してもらいます。導入推進チームのメンバーを含めた 10〜50人 規模のチームがおすすめです。
💡 #自己紹介 チャンネルを作成しましょう。新しく参加したメンバーに、このチャンネルに簡単な自己紹介を投稿してもらうようにします。
💡 社員への聞き取り調査で得た情報から判断し、変化に柔軟なグループを選びましょう。
Slack のメリットが実証されたところで、次はチームや部門レベルで正式に導入開始です。100 〜 500人 規模のグループがおすすめですが、新しいテクノロジーやオープンコミュニケーションに対する社内風土に合わせて、調整しましょう。
この第 2 段階では、変化に柔軟で、さらに共同作業が多く発生する複数の部署のメンバーで構成されたグループを選択するようにします。また、第 1 段階のグループが入っている事も大切です。そのメンバーが Slack 体験者として、Slack でどのように協力して仕事をしていくかを新メンバーに伝授していきます。
次の段階へ進んでも問題ないと判断できるまで、この段階を繰り返すこともできます。
💡 エグゼクティブスポンサーである幹部社員に、Slack への移行の案内メールを配信してもらいましょう。 Slack 導入案内メールのサンプル ページに、案内メールのテンプレートがありますので、ぜひ利用してください。
💡 Slack の管理者は、必ず新しいメンバーを適切な ユーザーグループ に追加し、各メンバーがそれぞれ適切なチャンネルへ自動的に参加するようにしましょう。舞台は整いました!どんどんグループや部門を追加していきましょう。第 1 段階や第 2 段階で Slack を使い始めたグループに参加している人達と関わりがあるチームを優先的に追加していくと、新しいメンバーがよりスムーズに利用開始できます。
これが最終段階です。全社への導入が終了するまで、この段階を繰り返しましょう。
💡 #slackの使い方 チャンネル内で新メンバーを メンションして、 Slack のはじめ方 — 新ユーザー編 を読むようにすすめましょう。
💡 新メンバーに Slack 上で作業が完了できる課題を割り当て、締切日を設定します。
💡 より大規模なグループへの導入準備が整ったと判断したあたりで、特別な Slack 講習会を開くことは、Slack の導入を促進するとても良い方法です。講習会開催に役立つページをいくつかご用意しましたので、ぜひ利用してみてください!
8. 利用状況を追跡調査する
導入後も引き続き社内の利用状況を追跡調査することにより、Slack のメリットを利用していないチームへ実証して新しい働き方への移行を促しやすくなり、さらに、利用を展開する余地のあるエリアを明確にします。調査には以下のような方法があります。
- ワークスペースの統計情報を定期的 (6カ月おきなど) に検証して、Slack の浸透率を追跡します。浸透率を調べるには、次の項目を確認します。
• 送信されたメッセージの数
• アップロードされたファイルの数
• インストールされたアプリと内部インテグレーションの数
-
Slack 導入後、チームの作業効率はどのように改善されたかについて、従業員の聞き取り調査を行います。メンバーに以下の点を確認します。
• 情報検索にかかる時間
• 作業に利用するアプリやツール間の切り替えにかかる時間。• 作業に利用するアプリやツール間の切り替えにかかる時間。
💡 ワークスペースのアクティビティと統計情報の確認 のページにて、さらに詳しく説明していますので、ぜひ確認してみてください。